2015年5月に韓国で流行した中東呼吸器症候群(MERS)。韓国保健福祉省の7月8日時点の発表で、死者は35人に上った。その後は徐々に沈静化に向かい、同省は10月1日にMERSに感染した患者のうち、最後までウイルス反応陽性だった男性が陰性になり退院したと発表した。
ところが同省は10月12日、この男性が再び陽性反応を示して隔離されたことを明らかにした。同時に、男性と接触した家族など61人も隔離されたという。世界保健機関(WHO)の基準では、すべての患者がウイルス反応陰性になってから4週間経過しないと完全に終息したことにはならない。
韓国では、このニュースはどう受け止められただろうか。ソウル在住の韓国人女性に取材すると、「注目すべきなのは間違いありません。しかし私たちは、MERSから回復した元患者がウイルスに再度感染する可能性は極めて低いことを学んでいます」と話した。韓国では、5月の経験を踏まえて、今回の報に接しても国民がパニックにならず、社会全体が落ち着いている様子がうかがえる。韓国最大のポータルサイト「NAVER」では、10月13日にMERS関連のニュースが一時的に最も多く検索されたが、同日午後には9番目まで順位を落としたという。
日本の厚生労働省によると、MERSは、インフルエンザと比較しても感染力は弱く、ヒトからヒトへ次々に感染することはない。