「最近、彼氏の枕のニオイが堪えられない! 生ゴミのようなニオイよ」「うちのダンナのワイシャツからも腐った油のようなニオイがするよ~」。
女性たちはアナタのニオイが変わったことに気づいている。「俺もとうとう加齢臭か~」とさみしく思ったアナタ、お門違いかも。もっと強烈な「ミドル脂臭」で、職場の皆さんに「スメルハラスメント」(スメハラ)の迷惑をかけていませんか?
口臭の1.4倍、足臭の1.5倍、ニオイを感じやすい
「ミドル脂臭(ししゅう)」は、2013年11月に男性化粧品大手のマンダムがニオイの成分を突きとめ、「汗のニオイ」や「加齢臭」とは別の第3のオトコの体臭として名付け、メディアや日本香粧品学会などに発表、広まった。20代の男性に多い汗のニオイとも、50代から多くなる加齢臭とも違う、30~40歳代男性特有のツ~ンと鼻につくニオイに注目したマンダムが、7年にわたって研究を進めた。その結果、ミドル脂臭の原因成分が「ジアセチル」とわかった。
ミドル世代は、頭皮などに分泌される皮脂の量は20代と変わらないのに、代謝が悪くなるので、皮脂がベタベタと粘っこくなる。雑菌が皮脂を分解してジアセチルを発生させる。ジアセチルが発するニオイは、昔から「つわり香」と呼ばれていた。妊婦が吐き戻すような胸がムカムカする不快感を与えるのが特徴だ。日本酒の醸造過程で生じる時があり、風味を損なうので、樽ごと廃棄しなければならないほどニオイの強い成分なのだ。ジアセチルは揮発性が高く、口臭の1.4倍、足臭の1.5倍、ニオイを感じやすいという。
汗、ミドル脂臭、加齢臭の三重苦
女性たちにニオイ成分を嗅がせてみたサイトをのぞくと、加齢臭が、「枯れ草のニオイみたい。なんか、お爺ちゃんの家に行った時のような懐かしさすら覚える」と意外に好意的なのに比べて、ミドル脂臭は「攻撃的というか、油っこくて、もわっと鼻にまとわりついて、思わずウッとくる」と不快に思う女性が圧倒的だ。マンダムが行なった「ニオイの容認度」調査でも、加齢臭を「許せない」とする女性はわずか13.2%だったが、ミドル脂臭は81.3%に達した。
しかも、汗のニオイが両脇、加齢臭が背中や胸などから発生するのに対し、ミドル脂臭は頭頂部やうなじの部分から発してくる。鼻の反対側からにおうため、周囲に迷惑をかけても自分では気づきにくい。また、ミドル世代は20代より代謝が低下するとはいえ、汗のニオイがまだ残っているし、40歳あたりから加齢臭がそろそろ始まる。ミドル世代は、「汗のニオイ」「ミドル脂臭」「加齢臭」の三種混合という複雑な体臭を発するのだ。
2015年9月、マンダムと東北大学の合同チームが、3つのニオイ成分の感受性を比較した研究を発表した。ミドル脂臭の成分「ジアセチル」、加齢臭の成分「2-ノネナール」、汗や足のニオイの成分「イソ吉草酸」を男女21人に嗅がせて、不快に思う度合いを調べた。すると、ジアセチルの感受性は個人差が大きいことがわかった。ほかの2つのニオイ成分に比べて、「我慢できないほど不快」という敏感な人から、「ほとんど不快に思わない」という鈍感な人までばらつきが目立った。研究チームでは、「正常な嗅覚を持つ人の中にも、ジアセチルを感じやすい人と感じにくい人がおり、自分の体臭に気づかず、無意識にスメハラをする原因となっているのでは」と警告している。
ていねいな洗髪と生活習慣を健康的に
このやっかいなミドル脂臭、どうケアをすればいいのだろうか。皮膚科の専門医のサイトをみるとこう書いてある。
(1)頭と首のうしろを朝晩2回しっかりと洗う。シャンプーを泡立てて、指の腹で塗り絵をするようにていねいに洗うのがコツ。
(2)肉は過剰に皮脂を分泌させるので、野菜や魚中心のバランスのいい食生活を心がける。野菜や魚は血液をサラサラにして、皮脂の元の脂肪を少なくする。体臭予防が期待できるのは、ビタミンB群とクエン酸、野菜や果物に多く含まれるフラボノイド。ビタミンB群はキノコ類や大豆、カツオ節に、クエン酸はフルーツ類、梅干しなどに多い。
(3)タバコと酒は控えめに。疲れやストレスをためない。
(4)肥満を防ぎ、積極的な運動で脂肪を燃焼させる。 要は、ニオイの元になる皮脂を減らして体の代謝をよくするために、生活習慣を健康的なものに変えることに尽きるようだ。