読者層40~50代を応援するためガンダム特集を組んだ
さらに、ガンダムのストーリーを企業の活性化や人材育成に応用できるとし、ファーストガンダムにあったエピソードを紹介した。それはホワイトベース館長のブライト・ノアの人心掌握術。主人公のアムロ・レイがいじけてしまい出撃を拒むシーンがあり、ブライトは腹を立てアムロに手をあげる。この時のセリフが有名な、
「親父にもぶたれたことがないのに」
だが、そんなアムロにブライトは、
「それだけの才能があれば貴様はシャアを超えられる奴だと思っていた。残念だよ」
と語る。これによってアムロは自信を取り戻す。これが会社の新人教育に役立つ、などと説明している。
記事を読んだ人たちの感想は賛否両論だ。
「ガンダム特集、こじ付け気味だけど割とマトモな記事だった」
「今週の日経ビジネスの『ガンダム日本再生計画』読んだ。アホみたいにガチだー」
「表紙だけで、中身はそれほど」
「技術の話は面白かったんだけど、組織論とかは過剰に褒めすぎで気持ち悪い気がする」
「実物大ガンダム製作の話で日経ビジネスの記者さんが大好きです」
などといった意見がツイッターに出ている。
どうしてこんなガンダム特集を組んだのか。特集の最後に解説のようなものが掲載されている。同誌の読者層は40~50代で、ちょうど1979年にテレビ放送が開始された「機動戦士ガンダム」の世代にあたる。彼らは中高年となり厳しい社会生活を送り、バブル崩壊を経て失われた20年のしわ寄せを被っている。しかし過酷な環境でも彼らがへこたれないのはガンダムのストーリーを通じて「胆力」が養われたからだ、というのだ。
「現実社会に極めて近い理不尽な環境で必死にあえぐ人々の物語。それがガンダムだ」
つまり、読者層40~50代を応援するためガンダム特集を組んだことがわかる。