食事に「ちょい足し」で効果抜群、でも摂りすぎはヤブヘビ
アルツハイマー病になると、脳がブドウ糖をエネルギー源に使えなくなり、脳神経細胞が休眠状態になってしまうが、ブドウ糖の代わりにケトン体がエネルギー源になり、脳神経細胞を回復させる。だから認知症の予防と改善になる。実際、米国のメアリー・ニューポート医師が、アルツハイマー病になった夫にココナッツオイルを飲ませて進行を止めた研究もある。
ケトン体は老化の原因となる体内の活性酸素を無害化する、アンチエイジング酵素群の働きも活発化させる。全身に若返り効果があるのだ。当然、美容にもいい。また、中鎖脂肪酸の大半はラウリン酸だが、ラウリン酸には抗菌作用があり、インフルエンザなどの感染症予防になる。口に含んでゆすぐと歯周病・口臭予防にもなる。また、整腸作用があるので便秘にも効くという。
使い方のポイントは「ちょい足し」だ。中鎖脂肪酸は摂取後、3時間で分解のピークがくるので、脳がエネルギー不足になっている朝に、コーヒーや紅茶にひとさじ入れると、脳への栄養にもなっていい。また、普通の食用油に比べると、酸化安定性が高くて加熱調理に強いのが特徴だ。独特の甘い香りとくせがあるので、エスニック料理だけでなく洋食や中華にも合う。パスタを炒める時に使うと、さわやかな香りづけができる。
しかし、「ボケない、老けない、太らない」と、いくら体によいからといって摂りすぎは禁物だ。実は、ココナッツオイルの6割は「善玉」の中鎖脂肪酸だが、残りの4割は「悪玉」の長鎖脂肪酸なのだ。こちらは、ゆっくりとエネルギーに消費されるため、余った分が中性脂肪に変わり体内に蓄積されやすい。パンに塗って食べたり、直接飲んだりして過剰に摂るとダイエットとは逆の結果に陥る。白澤卓二教授も「1日に大さじ2杯が目安」と強調する。
また、体質的に合わない人もいる。整腸作用が活発になりすぎて下痢を起こしたり、嘔吐したりする人も稀にいる。最初は少量で試してみて、体調と相談しながら増やしていこう。