銀行、企業双方に緊張感もたらす
今回、メガバンクが持ち合い株削減に動く背景には、金融庁の方針とともに、上場企業が守るべき指針を示した「コーポレートガバナンス(企業統治)コード」がある。2015年6月から適用されているもので、株を保有する企業は、株主として、企業に収益を上げるように働きかけることが求められるようになった。「物言わぬ株主」ではだめということで、この務めを怠れば、今度は自らの株主に怠慢を指弾されるということになる。
他方、銀行による株の売却対象になった企業は自ら新たな株主を探す必要があるが、これが経営に緊張感をもたらす効果もある。
バブル時代までは、保有株の含み益は日本の金融機関の強みだったが、バブル崩壊で一転して巨大なリスクに転じ、金融危機を経て2002年には銀行等保有株式取得機構をつくって売却を進めた。しかし、最近は保有株削減ペースの鈍化も指摘される。金融庁の持ち合い株削減への強い姿勢は、メガバンクのリスク管理が緩まないよう、改めてタガを締め直す狙いもありそうだ。