漫画やアニメの店が並ぶ東京・中野ブロードウェイにほど近い飲み屋街の一角にある「黒猫メイド魔法カフェ」中野本店は、2015年10月11日も「臨時休業とさせていただきます」の張り紙を残して、シャッターが閉ざされていた。
「従業員が、亡くなっておりますので......」
J-CASTニュース編集部の電話取材に、運営会社の社員はか細い声で答えた。広島・流川にある姉妹店が、3人の犠牲者を出す火災に見舞われて3日。今なお、出火原因などは明らかになっていない。
カフェバー営業とエステ営業の店舗が同居
今回の火災が報じられる中で、多くの人が注目したのが、同店が2階部分で「個室サービス」を行っていた点だ。ツイッターなどで、
「私の認識の中のメイド喫茶で無い」
「メイドカフェなのに個室...?」
といった声が上がっているように、メイドカフェなどでは「個室」を設けていないところがほとんど。また、亡くなった従業員、客はいずれも2階にいたと見られることもあり、メディアなどの報道も、憶測めいたものも含めその部分に集中した。
実際のシステムはどうだったのだろうか。同店は、「カフェ+バー」営業と、「エステ(マッサージなど)」営業を行っていた店舗が同居するような作りになっていたようだ。このうち、エステの方は、手のひらをマッサージする「お手てナデナデ」や、肩をもむ「お肩ヤワヤワ」などのコースがあり、まとめて頼むと30分・3800円~。また指名料金として2000円がかかり、1000円で衣装の変更、また写真撮影も1000円で行っていたという(同店ウェブサイトより)。
「性的サービスはまったくしません」
一部報道では、これら2階の営業については風営法に基づく届け出がされていた、とある。ただし、9日の「報道ステーション」(テレビ朝日系)の取材に答えた常連客だという男性は、
「まったくそれ(性的サービス)はしません。お客さんがエステシャンに触ったらいけん、っていうルールもあるので」
と断言している。
なお、最大の焦点である火災の原因についてはいまだわからないままだ。入居するビルが消防訓練を行うよう、計5度にわたり指導を受けていながら、一度も行っていなかったことや、火災報知器が発生後すぐには鳴らなかったことなどが報じられる一方、産経新聞(ウェブ版)は11日付で、火災報知器に異常はなく、延焼が早かったことから「不審火」の可能性が強い――との関係者の話を掲載している。
J-CASTニュースでは運営会社にも問い合わせたが、「警察・消防が捜査中ですので、お答えできません」との返答を得るに留まった。