60歳で始めてフルマラソン完走も
初心者は、横か前を人に歩いてもらうといい。その人を追い越さないよう走るのだ。「こんなに遅いなら歩いた方がいいのでは?」と最初は戸惑う。しかし、ゆっくりでも走ることで両足が宙に浮くため、ウォーキングでは使われない体幹の筋肉や太ももの前面の筋肉が鍛えられる。骨も丈夫になるし、消費カロリーも同じ速度のウォーキングの2倍になる。
くれぐれも無理をしないこと。「頑張ってはいけない。初心者が一番陥りやすいのは一生懸命やりすぎて膝を痛め、ランニングをやめてしまうことです」と田中教授。5分走って疲れたら5分歩こう。目標は1日にトータルで30~60分だ。慣れて体力がついてくると、「ニコニコペース」が時速4キロ→6キロ→8キロ......と速くなっていく。「ゆっくり走ると速くなる」といわれるゆえんだ。
実際、60歳からスロージョギングを始めて、フルマラソンを完走した人も多い。ゆっくり走ると、「やる気脳」といわれる記憶・思考・集中力に働く前頭前野と、認知機能をつかさどる海馬が活性化されるという研究成果がある。まずは1日15分程度から始めたい。