いよいよ上場、郵政3社株は儲かるのか NTT株を彷彿とさせる「いけいけ」ムード

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政3社の株式が2015年11月4日、いよいよ東京証券取引所に上場する。10月7日には上場時の売り出し価格を決めるための仮条件が発表された。

   1987年2月に上場したNTT株や93年10月のJR東日本株、98年10月のNTTドコモ株に続く、政府放出株の「最後にして最大の案件」とされる。株式相場にある「政策に売りなし」という格言のとおり、郵政3社株は値上がりするのだろうか。

  • いよいよ上場する郵政株、「買い」なのか?(写真はイメージ)
    いよいよ上場する郵政株、「買い」なのか?(写真はイメージ)
  • いよいよ上場する郵政株、「買い」なのか?(写真はイメージ)

想定価格を下回る売り出し価格の仮条件で「割安感」漂う

   乱高下を繰り返す株式市場にあって、2015年11月の上場前にした「郵政株」が熱を帯びてきた。

   売り出し価格の仮条件は、日本郵政が想定価格の1株1350円に対して1100~1400円、ゆうちょ銀行が1400円に対して1250~1450円、かんぽ生命保険が2150円に対して1900~2200円となった。3社とも想定価格よりも下よりに幅をもたせたことで、市場では「割安感」が漂っているとの見方がある。

   売り出し価格は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が10月19日に、日本郵政は26日に決定。売り出す株式の8割は国内向けで、そのうちの95%を個人に販売する。

   仮に個人投資家が郵政株を購入しようと思えば、3社とも単元株数(最小売買単位)が100株なので、日本郵政で13万5000円、ゆうちょ銀行で14万円、かんぽ生命で21万5000円、3社合計で49万円(いずれも想定価格で算出)の資金が必要になる。

   とはいえ、たしかにNTT株の公募価格の119万7000円や日本たばこ産業(JT)株の143万8000円と比べると、だいぶ手ごろな金額といえなくもない。

   一方、主幹事を務める証券会社は10月8日から、仮条件に基づき投資家の需要予測(ブックビルディング)を開始した。最終日は日本郵政が23日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が16日までと日程が異なるが、購入希望者はそれぞれのブックビルディング(抽選申し込み)期間が終了するまでに引受証券会社に口座を開設して「抽選」の申し込みを行う必要がある。

   なにしろ、日本郵政は全国津々浦々に郵便局を構え、「ゆうちょ」「かんぽ」は知らない人がいないほど、抜群の知名度をもつ。かつてNTT株の上場をきっかけに株式投資をはじめた人は少なくなかったが、証券会社にとってもそれ以来といっていいほどの投資初心者を呼び込むチャンス。多くの新規顧客の獲得や、取り込んだNISA(少額投資非課税制度)口座の稼働率アップに結び付けていく。

   ロイター通信(2015年10月7日付)は「焦点:日本郵政株式、個人の需要強く一部で過熱感」の記事で、郵政株は国内個人投資家からの引き合いが強く、「一部で過熱感も出ている」と報じた。

   どうやら郵政株は、個人投資家にたいそう人気のようだ。

NTTフィーバーの再現なるか!

   ある個人投資家は、郵政株は「買い」と言い切る。日本郵政は中期経営計画で、配当性向50%以上を目標に据えることを表明。ゆうちょ銀行は50%以上、かんぽ生命も30~50%の配当性向を目標としていることを評価しているからだ。「長く保有してもいい」と話す。

   また、今回の郵政株の上場は東日本大震災からの復興財源(約4兆円)を手当てすることを目的としている。そのため、「政府も失敗させられないはず」との読みもある。

   さらには、NTT株フィーバーの再来を期待する向きもある。NTT株は上場時(1次売り出し)の応募倍率が6.4倍と、個人投資家が熾烈な争奪戦を繰り広げた。売り出し価格119万円に対して初値は30%超上回る160万円が付き、2か月後には318万円の高値を付けた。

   バブル崩壊後の株価の長期低迷で塩漬け状態に陥った投資家も少なくないが、株式投資の経験の長い投資家の中には、当時のNTT株で成功した人も少なからずいるというわけだ。

   実際、過去の政府放出株の中で、初値で売り出し価格を下回ったのはJT株だけ。それも長期投資の視点でみれば株価は上昇。2015年に上場来高値を更新しており、政府が保有する株式の売却はおおむね成功しているといっていいかもしれない。

   半面、「買いません」という、別の個人投資家は「(買うという声を)まったく聞かないんですよね。騒いでいるほど売れないんじゃないかな」と漏らす。

   「(郵政株に限らず)IPO案件は売り出し時にピークを迎える銘柄少なくないですから、上場後に値下がりしたときが買いどきかもしれません」と話す。

   2015年夏以降に乱高下している日経平均株価も、アベノミクスの効果で右肩上がりが続いてきた。「郵政株の売り出しを意識していた感じもあって、郵政株の上場をきっかけに相場が下落傾向に転じる」との見方があるほか、郵便事業を抱える日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命とも内需型のため、その収益性に疑問をもつ個人投資家もいる。

姉妹サイト