企業が大学の基礎研究に寄付して、それを税額控除
理系であると多くの人が感じると思うが、自然科学はとにかく楽しいのだ。だから、研究といわれても遊びの延長であって、やるのは名誉でもなく単に楽しいからという理由が多いだろう。
研究する人の多くの不安は、「遊んでいて」食っていけるかというものだ。そこで、公的支援が必要になる。かつての高成長時代であればいいが、今では選択と集中、事業仕分けとなってしまう。そうなると基礎研究は即戦力でないので分が悪い。
ただ、カネはあるところにはある。儲かっている企業が大学の基礎研究に寄付して、それを税額控除すれば、立派な公的支援である。税金で集めて官僚や事業仕分けで研究費を配分するのではなく、税を稼ぐ企業が、官僚を中抜きして直接配分するわけだ。
筆者は、かつてこの税制改正を予算要求したこともある(結果は残念ながらボツ!)。なんとかして、基礎研究への公的支援をやらなければ、20、30年後日本のノーベル賞受賞者がいなくなってしまうだろう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。