互いに会話をしている2人の体の動きが、自然に一緒になってしまうことは知られているが、2人が互いに見つめ合うだけでも無意識に体の動きがそろうことがわかった。2015年9月、自然科学研究機構生理学研究所の定藤規弘教授らの研究チームが発見して2015年9月、米科学誌「プロスワン」電子版に論文を発表した。
定藤教授らは、コンサートのアンコールの拍手や、並んで歩く2人の足が自然にそろう「同期」という現象に注目。見つめ合うだけでも同期するかどうかを実験で確かめた。44人の女性を22組のペアに分けて、互いに向かい合って直立してもらった。そして、(1)互いに見つめ合った場合(2)一方が目隠しをした場合(3)双方が目隠しをした場合の3つのケースで、体が小刻みに前後左右に揺れる動きを計測した。
すると、(1)ではすぐに動きがそろい、(2)では体の動きに相関があるもののそろうのに時間がかかり、(3)では相関はみられなかった。研究チームでは、「人間がコミュニケーションを取る上で、コミュニケーションの最小単位である『見つめ合い』がいかに重要かわかった。同期の動きを定量化してコミュニケーションの状態を知ることができるので、今後、教育やビジネスの場、自閉症などの診断支援に応用が期待できる」としている。