拒食症の10代の女性の脳の一部が、健康な同世代の女性に比べると著しく縮小していることを、福井大の藤沢隆史特命助教の研究チームが明らかにし、論文が2015年6月11日付で米科学誌プロスワン電子版に掲載された。
縮小が甚だしいのは、前頭前野の一部で、行動や感情をコントロールする脳の部位「下前頭回(かぜんとうかい)」。研究チームは、12~17歳の拒食症の少女20人と、11~16歳の健康な少女14人を対象にMRI(磁気共鳴画像装置)の画像を比較した。平均すると、拒食症の少女は栄養不足のために脳全体の容量が約10%少なく、特に下前頭回は左で約19.1%、右で約17.6%と突出して減少していた。また、年長になるほど容量が小さくなる傾向が見られた。
拒食症が原因で縮小したのか、縮小しているから拒食症になったのかはわからないとしている。拒食症は若い女性にみられる摂食障害の1つで、きっかけは様々だが、当初は軽いダイエットのつもりが極端にエスカレートするケースが多い。カウンセリングなどの心理療法が行なわれるが、治りにくいことでも知られる。今回の研究成果で、これからは脳の画像から治療効果を判断できるようになりそうだ。