共産党の提唱する「野党結集」の成否が注目される中、民主党と維新の党による政策協議が本格的に始まった。2016年参院選の選挙協力では共有公約を掲げる構想が進んでおり、国家公務員の給与2割削減や国会議員の定数削減が盛り込まれるようだ。
ただ、この2つは民主党政権時代に民主党が実現できなかった政策だ。早くも維新の党を「偽物維新」と批判する大阪市の橋下徹市長からは「笑えないコント」呼ばわりされ、民主党最大の支援団体の連合からは「疑問がある」と横やりが入っている。公約の内容はまだ発表すらされていないが、現実味のなさが先行して批判の的になっている。
公務員給与、14年度からは元の水準に
民主党の岡田克也代表は9月25日に共産党の志位和夫委員長と会談したが、連立や選挙協力には慎重姿勢を崩さなかった。今後は、民主党は維新→社民→生活の順で協議を進めることにしている。すでに維新とは政策協議機関を設置し、9月30日に初回の会合を開いている。
そんな中で10月5日に協議機関でまとめる「共有公約の概要」を日本経済新聞が報じ、波紋を広げている。(1)国家公務員給与2割削減(2)国会議員の定数削減(3)安保法案の「廃止」、を盛り込むというのだ。
これらの「共有公約の概要」の中には、過去に民主党が実現できなかったものもあり、公約としての実現可能性に疑問符が付きそうなものばかりだ。
国会議員の定数削減は、12年11月の党首討論で野田佳彦首相(当時)が「定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる」と述べたのに対して、自民党の安倍総裁(同)が「今この場で、しっかりと約束する」と応じて野田氏が衆院解散を決断。その結果民主党は下野したが、安倍政権は定数削減の約束を実行していない。
公務員給与の削減は、民主党時代の12年度に東日本大震災の復興財源ねん出を目的に、国家公務員の給与を平均7.8%引き下げる形で実現。ただし、これは2年間の時限立法で、14年度からは元の水準に戻った。
「廃止」を目指すという安保関連法への対応も、民主党政権で外相や国交相を務めた前原誠司衆院議員は9月30日に「安保法制は『廃止』ではなく『見直し』」と題したブログを投稿するなど、党内の足並みはそろっていない。