「微生物の力借りただけ」「人のために」... 大村智氏の謙虚で誠実な言葉に日本中感動

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   2015年のノーベル医学生理学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が10月5日夜、都内で記者会見した。

   大村氏の偉業はもちろんのこと、「微生物の力を借りているだけ」「人のために」といった言葉の数々が多くの人々の心に響き、インターネット上で称賛の声が相次ぎ寄せられている。

  • 5日に会見を行った大村智氏(写真:伊藤真吾/アフロ)
    5日に会見を行った大村智氏(写真:伊藤真吾/アフロ)
  • 5日に会見を行った大村智氏(写真:伊藤真吾/アフロ)

安倍首相にも「微生物のおかげですから」

   大村氏は長年にわたって微生物の研究に力を注ぎ、微生物由来の有機化合物を次々発見した。中でも「エバーメクチン」の発見は、アフリカや中南米の人々を苦しめていた病気の特効薬につながり、今回、この業績が高く評価されることとなった。なお、特効薬「イベルメクチン」は世界保健機関を通じて延べ10億人以上に無償提供されているという。

   そんな偉業を成し遂げながらも、大村氏が語ることは徹頭徹尾、謙虚で誠実だ。5日の会見では

「私の仕事は微生物の力を借りているだけ。私自身がえらいものを考えたり、難しいことをやったりしたわけではなくて、すべて微生物がやっていることを勉強させていただいたりしながら、本日まで来ている。そういう意味で本当に私がこんな賞をいただいていいのかな、と思います」

と切り出した。

   先人が築いてきた学問や、北里研究所創設者の北里柴三郎氏から受け継いだ「科学者は人のためにやらなければだめだ」という精神に触れながら、

「人のために少しでもなにか役に立つことはないか、微生物の力を借りて何かできないか。それを絶えず考えております」

と述べ、こうしたことが今回の賞につながったと指摘した。

   この「人のためになることを」という言葉は座右の銘でもあった。小さいころ面倒を見てくれた祖母から繰り返し聞かされていたそうで、会見では「どちらが世の中、人のためになるか。分かれ道に立ったときはこれを基準にしてきた」と振り返った。

   なお、会見中に安倍晋三首相から祝福の電話が入った際には「微生物のおかげですから。総理からのこういう言葉を頂き、さらに励みになります」と丁寧に応じていた。

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