TPP大筋合意で国内向け総合対策 また繰り返される農業への大判振る舞い

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   米アトランタで行われていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会議が大筋合意に達したことを受け、安倍晋三首相が2015年10月6日午前、会見した。いわゆる「重要5品目」は「聖域」だと位置づけていたが、実際には米国に無関税輸入枠を新設するなど譲歩を迫られた。

   実際に協定を結ぶには国会の承認が必要だ。安倍首相は「できる限りの総合的な対策を実施する」と説明しており、一例として「市場に流通するコメの総量は増やさない」とも述べた。そのためには政府が赤字を補塡(ほてん)したり買い上げたりするなどの国費投入が避けられないとみられ、参院選を16年夏に控え、国内の反発を収めるための農業対策費がどの程度まで膨らむかも焦点になりそうだ。

  • TPPの大筋合意で記者会見する安倍晋三首相
    TPPの大筋合意で記者会見する安倍晋三首相
  • TPPの大筋合意で記者会見する安倍晋三首相

国会決議では「聖域の確保を最優先」求めていた

   国会はTPP交渉への参加を認めた13年4月、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖(甘味資源作物)を「重要5項目」と位置づけ、

「重要5品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること」
「重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」

などを求める決議を採択していた。

   安倍首相は、

「最後の最後までギリギリの交渉を続けた。その結果、関税撤廃の例外をしっかり確保することができた。これらの農産品の輸入が万一急に増えた時には、緊急的に輸入を制限することができる新しいセーフガード措置を設けることも認められた」

などと成果を強調したが、「『聖域』は守られたのか」という質問には直接は答えなかった。

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