デュアルタスク(二重課題)  認知症予防に、同時に2つのことに挑戦して脳を鍛える

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   こんな経験はおありだろうか。駅の券売機でカードをチャージした。次にすべきはお釣りを財布に入れて改札口に向かうこと。しかし、歩き出すことに気をとられてお釣りを忘れ、気づいた時は電車の中――。私たちは普段2つのことを同時に行っている。料理では何品も作る。歩きながらスマホを見る。ところが脳の老化が進むと2つのことができなくなる。

   歩行中に話しかけられると、歩きながらの返事ができず、混乱して転ぶ。1997年、スウェーデンの研究者が、高齢者の転倒事故の多くは足腰の衰えに加え、2つのことを同時にできなくなったからだと発表して、デュアルタスク(2つの課題を同時にこなすこと)が注目され始めた。

  • ひとりでじゃんけん、やってみよう
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貧乏ゆすりは脳に血液を送る働きがある

   逆に言えば、デュアルタスク能力を高めれば脳は活性化し、認知症予防につながる。デュアルタスクは、2つのことを同時に行うトレーニングだ。「ひとりジャンケン」がある。右手と左手で同時に別々にグー・チョキ・パーを出していく。必ず右手が勝つように出すのだが、最初はほとんどの人ができない。単純だが、脳が汗をかくほどフル回転する。

   右手にスカーフ、左手にお手玉を持ち、スカーフを振る動作とお手玉を上げる動作を同時に繰り返す。これも最初はお手玉がすぐ落ちる。慣れてくるとスカーフで8の字を描きながらお手玉を上げられるようになる。右手と左手を前に突き出し、右手で三角、左手で四角を宙に描く動作もある。

   椅子に座り、貧乏ゆすりのように両足をカタカタ動かしながら、世界各国の首都や海に棲む動物の名を次々に言う方法も脳に刺激を与える。実は貧乏ゆすりには、最近、脳に血液を送るポンプの働きがあることがわかった。授業中にやって教師に叱られた人も多いだろうが、理にかなっていたのだ。

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