共産党が「連合政府」構想で野党結集を呼びかける中、かつで「剛腕」として知られた「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎代表が動き出した。小沢氏は声明を発表し、野党が統一名簿を作って選挙に臨む、いわゆる「オリーブの木構想」で戦うべきだと主張した。
小沢氏は、この構想が実現すれば「1人区はほぼすべて勝利し、比例区と合わせてかなりの議席を取ることができるはず」とかなり楽観的だ。ただ、小沢氏は多くの政党や政権を崩壊に導いてきた「壊し屋」として名高いうえ、過去にも「オリーブの木」を提唱してきたが全く実現しなかったという経緯がある。一部には小沢氏の談話を支持する向きもあるが、小沢氏の影響力が残っているかは不明だ。
「『オレがオレが』と主張していては大事を成就できません」
声明は「政権交代こそ野党連携の最大の目的」と題して2015年10月2日に発表され、安保法制については、
「今回の違憲立法がまかり通れば、また戦前の昭和史と同じことを繰り返しかねません」 と批判。この動きを止めるための政権交代が実現するかどうかは「野党の協力次第だと思います」だとした。
その野党協力の最善の形は、
「各党が解党して一つの党をつくること」
だとしながらも、これは現実的にじゃ難しいとして「次善の策」として、
「野党は次の参院選を統一名簿による選挙、つまり『オリーブの木構想』で戦うべきだ」 とした。選挙時の届け出政党を既存の政党とは別に一つつくり、そこに各党の候補者が個人として参加する方式を提唱している。共産党の提案についても「私たちは高く評価しています」とした。この「オリーブの木」方式が実現した場合、
「1人区はほぼすべて勝利し、比例区と合わせてかなりの議席を取ることができるはず」
と豪語。実現のためには
「各議員の『自分を捨てる』、『自分を殺す』という利他の精神」
が重要で、
「『オレがオレが』と主張していては大事を成就できません」
ともクギをさした。共産党の呼びかけに応じることに否定的な民主党や維新の党の議員の一部を念頭に置いているとみられる。
ゲンダイ「『檄文』に瞠目すべき」、フジ「もはや『過去の人』」
翌10月3日発行の夕刊紙では、この声明の評価は大きく割れた。小沢氏の「ファンクラブ会報」と揶揄されることもある日刊ゲンダイは、「小沢決起檄文」の大見出しで、「力強い言葉の矛先が民主や維新の『青二才』たちに向かっているのは間違いない」
などと分析しながら、
「国民の不安を代弁した小沢の『檄文』に瞠目(どうもく)すべきだ」
と絶賛した。
これに対して安倍政権に近い論調の夕刊フジは、
「もはや『過去の人』の人でしかない小沢氏だが、最近は共産党に近づいて野党結集を仕掛けようとしており、『壊し屋』はまだまだ懲りていないようだ」
と切り捨てた。
もっとも他のメディアでは注目度は低いようだ。