東京都幼小中高心性教育研究会（都性研）は2015年8月30～31日に茨城県で開かれた日本思春期学会の会合で、2013年12月に行われた最新の小中高校生の性交経験調査を発表した。それによると、高校生の性交経験率が近年の最低レベルに落ち込んで、性交したいという欲求も少なく、「草食化」が急速に進んでいることが明らかになった。
この調査は児童・生徒の生理的・心理的な発達の実態を明らかにするために、1981年から3年おきに行われてきたが、性教育への逆風の影響を受け、前回の2008年以来の6年ぶりとなった。都内の公立の小中高校生を対象に約7000人にアンケートを送った。その結果、高校3年生の性交経験率は男子で27.6％（前回45％超）、女子で18.1％（同40％超）と大幅に減った。02年から08年までの3回の調査では経験率はほぼ変わらないことから、この6年間で劇的に性意識の変化があったようだ。
「性交に関する考え方」を聞くと、高校3年生では「しない方がいい」と「結婚まではしない」を合わせた否定的な考え方が、男子で17.3％、女子が21.7％で、過去3回の調査と比べて最も高く、「考えたことがない」という回答も男女合わせて過去最高だった。
この意識変化は中学生も同様で、中学3年生の「性交をしたいと思ったことがある」割合は男子で25.7％、女子10.9％で過去最低。87年調査の男子86％、女子36％に比べると3分の1以下という激減ぶりだ。都性研では「性経験の機会があるかないかではなく、要求自体が下がっている。コミュニケーション能力の低下や人間関係の希薄化が背景にあるのでは」と分析している。