栄養バランスが取れたコンビニやスーパーの弁当などに「健康な食事」の認証マークをつける問題で、2015年9月、厚生労働省は制度を見直して個別の商品にマークを使わないことを決めて、都道府県などに通知した。
「健康な食事マーク」は、日本人の長寿を支える観点から、弁当や総菜などのうち厚労省の定めた栄養バランスや総カロリーの基準を満たしたものに認証を与え、消費者が健康にいい食事を選びやすくするのが狙い。認証マークのデザインも決まり、2015年4月からあちこちでお目にかかるはずだった。
ところが、同年1~2月の意見公募では、厚労省の決めた基準に対し、多くの関連団体から反対の声が上がった。「玄米が2割も占めると、白米の生産に影響が出る」(自民党の農林水産関係団体)、「食塩が1食当たり3グラム未満では、梅干しや漬物が入れられなくなる」(惣菜製造業界)などだ。弁当製造業者の自己申告ということもあって、「そもそも基準を満たしているのかどうか、誰がチェックするのか」「認証マークのない弁当は不健康というイメージを与える」という批判もあがり、4月実施を延期していた。
今回の通知は、「健康な食事マーク」制度の事実上の撤回とみられる。