情熱的なキスをするとアレルギー反応が和らぐ――独創的でユーモラスな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の2015年受賞者が9月17日に米ハーバート大で発表され、大阪府寝屋川市の診療所院長、木俣肇さん(62)が「医学賞」に選ばれた。
木俣さんは、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎の患者60人(女32人、男28人)とアレルギーを持たない30人(男女とも15人)に協力を求めた。個室で30分間、穏やかな音楽を聴きながら、恋人や配偶者とキスをする場合と、キスをせずにただ抱き合うだけの場合を比べる実験を行った。すると、患者がキスをした場合だけ、アレルギー反応を引き起こす原因となる抗体の産生や、特定のタンパク質の血中濃度が低下して症状が緩和された。抱き合うだけでは変化はなかった。キスが精神的ストレスを和らげたため、症状の緩和につながったと、木俣さんは論文で示唆している。
木俣さんは所用で授賞式には参加しなかったが、ビデオメッセージで「キスは、愛だけではなく、アレルギーの緩和にもつながるものだと願いたい」と訴えて会場を沸かせた。