国連総会出席のため米ニューヨークを訪問していた安倍晋三首相(61)がロシアのプーチン大統領(62)の前でみせた「小走り」が話題になっている。
首相は2015年9月28日(日本時間29日午前)、ニューヨークの国連本部でプ―チン大統領と約10か月ぶりとなる首脳会談を行い、北方領土問題や経済協力などについて約40分間話し合った。
中国ネットユーザー「犬と同じ」「かわいい」
安倍首相はこの時、直前のスケジュールがずれ込んだために遅れて登場した。部屋に入ってくると左手をサッと挙げ、両腕を振りながら数メートル先のプーチン大統領のもとへ笑顔で駆け寄った。勢いをそのままに2人は握手。大統領は「グッドモーニング」と笑顔で応じた。
異例の「小走り」がニュース番組等で伝えられると、インターネット上にはさまざまな声が上がった。
「みっともない」「威厳ない」「しっぽ振ってる犬にしか見えない」などと不満を示す声がある一方、「微笑ましい」「好感度上がった」「プーチンのこぼれるような笑顔を引き出しただけで、この顔合わせは成功」といった好意的な意見もみられた。
安倍首相の振る舞いは中国でも注目を集めた。いくつかの中国メディアが日本のニュース番組の映像を使ってこのシーンにスポットをあてて報じたのだ。
中国のネットユーザーからは、「安倍は何歳?子供かよ」「『飼い主様、来ました!』っていう犬と同じ」「もしオバマ(米大統領)が遅刻したら同じように駆け寄ると思う?」などと皮肉る声も少なくなかったが、
「こういうふうに人の懐に入ることができる人は恐ろしい。バカにできない」
「やり手だな。礼儀正しく相手を尊重していることが一瞬で伝わるし、好感を与える」
などと評価する声もいくつも見られた。
さらに中国ネットユーザーからは、「悔しいけどかわいい」「お茶目なところあるな」「ちくしょう、可愛いな!」「萌えてしまった」といった声まで上がった。
朝日論説副主幹「軽々しい」とバッサリ
日中ネットユーザーから少なからず好評を得た安倍首相の「小走り」だったが、朝日新聞論説副主幹の立野純二氏はこれを「はしゃいでるように見える」とバッサリ切り捨てた。
立野氏が出演した9月29日の「報道ステーション」(テレビ朝日系)では、両首脳の会談VTRを放送。スタジオに戻ると、司会の古舘伊知郎氏が「そもそも安倍総理のプーチン大統領と会うときの動きに関してどう思います?」と質問した。
これに「どうしてもはしゃいでいるように見えてしまいましたよね」と切り出し、「こういう日本の首相の姿がウクライナとヨーロッパの人々の目にどう映るだろうか。そこに問題があると思うんです」と厳しい表情で語った。
立野氏は、プーチン大統領による相次ぐ強硬策を受け、世界の首脳陣がどう付き合うべきか頭を悩ませていると指摘。その上で、
「そんな中で安倍さんの軽々しい感じがする接触の仕方はどう映るだろうか。北方領土問題は確かに日本にとって大事ですが、日露固有の問題を急ぐよりも、今、世界の国際情勢がどうなっているのかを考えなくてはいけない」
と述べた。
報道によると、首脳会談では安倍首相が北方領土問題の解決に意欲をみせた一方、プーチン大統領は日本の経済協力に期待感を示し、領土問題に言及することはなかった。両首脳は対話の継続と、プーチン大統領の訪日時期を引き続き探ることを確認するにとどまり、大きな進展はみられなかったという。