東京五輪の2大エースの夢
現在、プロ球界では多彩な変化球を投げ分ける投手が多いが、勝利数と敗戦数に差がないのは、勝負どころで抑えきれない弱さが同居しているからだ。その点、大谷と藤浪はここ一番で剛速球を投げる。抑える確率は高い。
大谷は打者と投手の二刀流でデビューして大きな話題を呼んだ。
「160kmの速球を生かせ」「長打力を育てろ」
こんな声が起きた。投打どちらでも大物、という評価なのだが、今季は投手専門とし、開幕投手がそのお披露目だった。
藤浪はいうまでもなく高校時代に春夏連覇を果たした甲子園の申し子。そのプライドがピンチでの強さを支えている。
本格派投手は年々減っている。背景には、打撃技術が進歩していることから、速球だけでは抑えられない事情がある。そんなときに速球を武器に勝負できる大谷と藤浪は、身体も大きく、大型本格派の魅力にあふれている。
「入場料をいくら払っても見たいピッチャー」
来シーズンはそんなファンで球場はあふれるだろう。そして2020年の東京オリンピックでの種目復活の期待が高まる野球で、日本代表の2大エースの姿が見られる夢が膨らむ。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)