優先席での携帯電話、電源オフルールを緩和 激化する口論・トラブルは減るか

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   関東や東北などの鉄道各社は2015年10月1日から、優先席付近では乗客に携帯電話の電源を切ってもらうというルールを見直し、電源オフは混雑時に限定する。一方で車内での通話は、混雑しているかどうかにかかわらず、引き続き遠慮するよう呼びかけていく。

   ルールを見直すのは、JR東日本や関東、東北、甲信越の私鉄や地下鉄など計37の鉄道事業者。これまで「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」と呼びかけていたのを「優先席付近では混雑時には携帯電話の電源をお切りください」に変更する。つまり「常時」だったのが「混雑時」に限定されるわけだ。混雑の定義は「体同士が触れ合う程度」としている。

  • 優先席付近での携帯端末使用に変化
    優先席付近での携帯端末使用に変化
  • 優先席付近での携帯端末使用に変化

関西はすでに2014年から見直し

   そもそも、電源オフは携帯電話の電波が心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響を与える恐れがあるとして、2003年に関東、2004年に関西の各社で統一ルールとして導入された。

   しかし、第2世代と呼ばれる携帯電話サービスが終わり、電波の弱い第3世代へと切り替わったことから、総務省はそれまで「携帯電話とペースメーカーの安全な距離は22センチ以上が必要」としていた指針を2013年に「15センチ以上」へと緩和。これを受け、関西では2014年に関東に先駆けて混雑時のみ電源オフとルールを見直した。

   関東では「混雑率が関西よりも高い」などの理由から15センチ以上とする指針に従うのは現実的でないとして、ルールの見直しは進まなかった。

   それがルール緩和に動いたのは、総務省の実験結果だ。一部の医療機器では携帯が3センチ程度まで近づかないと誤作動は起きなかった。ただ、この実験も携帯電話の電波を最大出力にしたり、機器の感度を最大にしたりするなど"最悪"の厳しい条件で行われたもので、専門家からは「日常生活で最大にすることはまれだ」などという指摘もあり、総務省は2015年8月に指針を改定し、「一般生活で調査条件と同じ状況になる可能性は非常に低い」との文言を盛り込み、「実際に影響が発生するとは限らない」という考えを示した。

タブレット使用客に包丁突きつけた老人

   この指針を受け、関東でもルールを見直すことになったというわけで、各社はこれから駅や車内にポスターを掲げたり、優先席付近でのスタッカーを張り替えたり、車内放送したりして周知していく。

   ルール見直しの背景には、乗客同士の携帯電話を巡るトラブルがある。JR京浜東北線では2015年6月、70代の男が優先席でタブレット端末をいじっていた男性を注意して包丁を突きつけ、乗客約50人が線路上に逃げ出すという騒ぎも発生している。

   ここまでの騒ぎになった事件はそれほど多くないが、乗客同士の口論は珍しくないだけに、各社には新たなルールが浸透すれば「乗客のトラブルも減るのでないか」と期待する声も出ている。

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