西日本で、マダニにかまれることで感染する「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)が拡大している。国立感染症研究所によると、2015年8月26日時点で41人が死亡した。うち30人が70代、80代で高齢者を中心に被害が深刻化している。
SFTSは国内で2013年1月、海外渡航歴のない罹患(りかん)者が初めて報告された。ウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期を経て発熱や吐き気、おう吐、腹痛などが起き、頭痛や意識障害、失語、さらには出血症状も引き起こす。致死率は6.3~30%で、今のところ有効や薬剤やワクチンがなく、対症的な治療法のみにとどまる。
国立感染症研究所によると、発症例151例のうち上位は宮崎県23例、愛媛県20例、高知県16例、広島県15例(いずれも8月26日現在)だ。石川県では9月2日にSFTS患者が確認され、3日に亡くなった。また広島県は9月1日、ウェブサイト上でSFTSの感染に関する注意喚起を掲載した。マダニは春から秋に多く発生するため、「森林や草むら、藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、肌の露出を少なくする」「長袖・長ズボンを着用する」「シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる」よう呼びかけた。