防衛次官と防衛白書が財界「提言」を先取り
大企業を中心に国内の1329社が加盟する経団連は、自民党の支持母体であり、政治献金と引き換えに、経済界が主張する政策の実現を求める圧力団体でもある。その経団連には、三菱重工業、川崎重工業など防衛省と取引がある企業で組織する「防衛産業委員会」(委員長=宮永俊一・三菱重工業社長)があり、2015年7月の同委員会総会では、防衛省の西正典事務次官が「わが国の防衛産業政策」をテーマに講演。「今後は、わが国の装備品の海外への移転について、いかに実効性を高めていくかが課題だ」「装備品の海外移転や国際共同開発には、政府と産業界が一体となって取り組まなければならない」と、今回の提言を先取りする発言をしていた。
7月公表の2015年度版「防衛白書」も、「日本企業がF-35の製造などに参画し、最先端の戦闘機技術やノウハウに接することは重要だ。国内の防衛産業基盤の維持、日米同盟の強化および地域における装備協力の深化といった観点から有意義だ」と、防衛装備品に関する諸施策に多くのページを割いていた。
まだ、安保法制の議論が山場にも達していなかったころから、法案成立を機に、防衛産業のマーケットを海外にも広げることに用意周到だった経団連と安倍政権の一体ぶりは、隠しようもない。