最近、お腹を抱えて笑いましたか? 「笑いは副作用のない最良のクスリ」といわれる。笑うと免疫力が高まり、生活習慣病の改善に効果がある。また、「幸福物質」のドーパミンが脳から放出されてストレス解消になるばかりか、認知症予防にも役立つことが研究でわかってきた。
しかし、いつもお笑い番組を見ているわけにはいかない。そこで登場するのが、「笑み筋体操」。
特別の準備がいらず、いつでも、どこでもできる
「笑み筋」とは、表情筋の中でも笑う時によく使われる筋肉だ。そこを触って動かすことで、自然に笑ったのと同じような刺激を脳に与える。すると脳が楽しく感じて、「笑いのチカラ」を生み出してくれるという。「楽しいから笑う」とは逆の「笑うから楽しい」というメカニズムの応用だ。2005年に筑波大学元教授の林啓子さん(看護学)が考案した。
特別の準備がいらず、いつでも、どこでもできるのがメリット。立ったままでも座ったままでもいい。普及団体の「笑み筋体操ハッピーネット」サイトなどによると、やりかたはこうだ。まず、肩の力を抜いて、ロウソクの火を吹き消すように「フ~」と細く長く息を吐くことを繰り返す。笑う時は腹筋や横隔膜を使うので、そこを動きやすくするためだ。
いよいよ表情筋のストレッチ。手のひらをこすって、顔全体を両手で覆う。顔が温まったら、両手をおでこに当てて、「のばしていい顔~」と言いながら、軽く横に引きのばす。続いて主な笑み筋をマッサージする。目の周りの眼輪筋、ほおの大頬筋、口の周りの口輪筋......など。
グループで笑えるセリフと一緒にやると楽しい
よく行われるのが、親指と人差し指でほおの肉を丸く集めて、グルグル回す「たこやきグリグリ~」。顔全体を、パン生地をこねるようにする「てこね~トントン~」など。仲間と向かい合って、何か笑えるセリフと一緒にストレッチすると、どっと噴き出したりして効果的だ。
約20分。終わると顔がポカポカして、気分が軽くなる。笑み筋の動きがよくなると、笑いやすい体質になり、表情が豊かになるそうだ。埼玉県鶴ケ島市など、自治体でも「健康づくり」の一環として高齢者施設などに取りいれるところも出ている。