大学などで本格的に運動競技に取り組んでいる女性アスリートの約2割が疲労骨折の経験があることが、2015年8月、日本産科婦人科学会と国立スポーツ科学センターの共同研究チームの調査でわかった。調査は、本格的に運動している大学生や普通の大学生ら計2153人にアンケートして行われた。
疲労骨折の経験は、普通の大学生では4.3%だったが、日本代表や全国大会レベルの選手は約23%だった。競技別では、疲労骨折の割合が高いのが陸上の中長距離51%、体操・新体操36%。また、無月経かどうか尋ねたところ、普通の大学生は2.4%が無月経だったのに対し、体操・新体操の選手は23%、陸上の中長距離、競歩の選手は22%だった。研究チームでは、体重管理が求められる競技や、やせている選手に多いことから、過度のトレーニングと食事制限で栄養不足に陥っている可能性があるとみている。
今回の調査は、スポーツ界だけではなく、過剰なダイエットに励む女性にも警鐘を鳴らしている。スポーツ科学の専門家によると、女性アスリートに多い疲労骨折は、閉経後の高齢者に多い「骨粗しょう症」と同じ現象だ。閉経すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、骨の形成機能が衰える。骨量が減少してスカスカになったところで、強い力がかかると骨折が起こりやすい。
女性の骨量は18歳頃にピークを迎えて、40代を過ぎると徐々に減る傾向にあり、10代のうちにできるだけ骨量を増やし、「骨の貯金」を蓄えておくことが、将来の骨粗しょう症予防につながる。「女性アスリートの疲労骨折は、過剰ダイエットの弊害を早回して見せてくれている」と指摘する産婦人科医もいる。10~20代で栄養不足に陥るような過剰な食事制限は控えたい。