「不正会計」の東芝、足元の業績不振深刻に 白物、テレビ、PCの国内撤退もありうる

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   前代未聞の不正会計が発覚した東芝の業績不振が深刻になってきた。不正会計問題を受けて2015年9月14日に約1か月遅れでの発表になった2015年4~6月期決算は、営業損益が109億円の赤字、純損益も122億円の赤字に転落した。4~6月期としては、ともに3年ぶりの赤字だ。2014年同期に476億円の営業黒字を計上していたことを考えると、その凋落ぶりは明らかだ。

  • 東芝再生の道のりはまだ見えない
    東芝再生の道のりはまだ見えない
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主力事業は軒並み赤字のオンパレード

   歴代3社長が引責辞任した不正会計問題では、コストの過少見積もりや損失の先送りなどによって利益が大幅に水増しされ、東芝は9月7日、2009年3月期以降の決算で合計2248億円もの下方修正(税引き前損益)が必要と発表した。

   この結果、2015年3月期の純損益は378億円の赤字と、5年ぶりに赤字に転落。営業損益こそ1704億円の黒字を確保したものの、前期からは33.7%の大幅減益だった。主力事業で利益の水増しがまん延する陰で、実際の収益力がいかに低下していたかを白日の下にさらした。

   2015年4~6月期に入って事態はより深刻だ。原子力など「電力・社会インフラ部門」の営業損益は、2014年同期から207億円悪化して107億円の赤字を計上。テレビ、パソコン、冷蔵庫など家電関連の「ライフスタイル部門」も赤字幅が156億円膨らみ、207億円の営業赤字になった。前社長が新たな収益の柱に掲げていた「ヘルスケア部門」も1億円の営業黒字を確保しただけで2014年同期から5億円の減少。東芝では半導体など「電子デバイス部門」が大半の利益を稼ぎ出す「一本足打法」の収益構造が指摘されてきたが、同部門の営業利益は前年同期から133億円落ち込んで356億円にとどまった。しかも、今後の市況次第で、収益がさらに大幅減になりかねない状況だ。

再生の道のりが見えない「室町新体制」

   特にライフスタイル部門は海外生産した製品を日本に輸入する構造にあり、円安に伴う海外生産のコスト増で採算が悪化している。このため9月14日の記者会見で室町正志社長は「白物家電、映像(テレビ)、パソコンの国内事業も是々非々で判断する」と語り、国内事業からの撤退も示唆。中間決算を発表する11月にも、何らかのリストラ策を提示する考えを示した。東日本大震災後、原発事業の先行きも不透明感が増しており、同事業の収益構造をどう改善していくかも重くのしかかる。

   東芝は不正会計問題を受けて、経営体制を一新。取締役会の過半を社外取締役とし、取締役会議長も社外を充てるなど、経営監視機能を高める方針だ。新たな経営体制は9月30日の臨時株主総会の承認を経て発足する。現在は会長を兼務している室町氏が社長専任となり、市場で失った信頼の回復、事業立て直しの重責を担うことになる。「成長の種をきちんと作るところまではやる。早く後進に道を譲りたい」。会見でこう語った室町氏だが、東芝再生の道のりはまだ見えない。

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