再生の道のりが見えない「室町新体制」
特にライフスタイル部門は海外生産した製品を日本に輸入する構造にあり、円安に伴う海外生産のコスト増で採算が悪化している。このため9月14日の記者会見で室町正志社長は「白物家電、映像(テレビ)、パソコンの国内事業も是々非々で判断する」と語り、国内事業からの撤退も示唆。中間決算を発表する11月にも、何らかのリストラ策を提示する考えを示した。東日本大震災後、原発事業の先行きも不透明感が増しており、同事業の収益構造をどう改善していくかも重くのしかかる。
東芝は不正会計問題を受けて、経営体制を一新。取締役会の過半を社外取締役とし、取締役会議長も社外を充てるなど、経営監視機能を高める方針だ。新たな経営体制は9月30日の臨時株主総会の承認を経て発足する。現在は会長を兼務している室町氏が社長専任となり、市場で失った信頼の回復、事業立て直しの重責を担うことになる。「成長の種をきちんと作るところまではやる。早く後進に道を譲りたい」。会見でこう語った室町氏だが、東芝再生の道のりはまだ見えない。