2年前のiPhone5は失速
技術やコスト面などで部品メーカーに厳しい要求をすることで知られるアップルに部品を納入することは、自動車なども含む他の完成品メーカーに「実績」としてPRできるため、営業面での効果も高いという。アップルへ納品し、それで得られる利益以上の「一粒で何度でもおいしい」好循環を享受できるというわけだ。日本メーカーの技術力の高さが実を結んでいると言えそうだ。
ただ、アップルといえども、もちろん好不調の波はある。例えば2012年秋発売の「iPhone 5」は、2013年に入って勢いを失い、部品業界に「アップルショック」をもたらした。先進国需要に飽和感が生まれつつあったなか、中韓台などアジアメーカーのスマホが台頭したからだった。
このため、日本の部品各社にとっては「アップル依存」からの脱却も課題であり続ける。アップルのみならず、スマホそのものの高機能化が早晩限界となり、電卓のような汎用品となる可能性もある。
各社とも過度の「アップル依存」への警戒を怠らず、自動車部品を中心に市場開拓の目配りもしている。自動運転技術など、今後も電子部品メーカーが活躍できる余地が大きいからだ。
ただ、この分野の「本家」であるデンソーや独ボッシュなど内外の自動車部品メーカーも研究・開発に力を入れており、垣根を越えた厳しい受注競争が続くのは間違いない。