がんばれ!リハビリテーション医療 まだ専門医が少なく、専門職の技術にも不安がある

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    欧米に比べて後れが言われる日本のリハビリテーション医療だが、関係者の認識も高まり、人員も増え、質も向上しつつある。

   2015年9月18日、医療介護福祉政策研究フォーラム(中村秀一理事長)が主催した研究会で、東京の初台リハビリテーション病院などを運営する医療法人社団輝生会の石川誠理事長がこれまでの経験と最新の状況を報告した。

  • 日本のリハビリテーション医療の今後に注目が集まる
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船橋市は地域包括ケアシステムの模範例

   石川さんは回復期リハビリテーション病棟協会常任理事、日本リハビリテーション医学会理事を務め、巨人元監督・長島茂雄さんの治療でも話題になった。

   石川さんは群馬大学出身の元脳外科医。当時の大学病院にリハビリ職はゼロで、「他院でリハビリを受けて下さい」と退院させていた。大学から派遣された長野県の佐久総合病院で初めてリハビリに関心を持ち、78年、東京の虎の門病院分院でリハビリを学んだ。

   86年、高知県の近森病院を拠点に理想のリハビリ医療展開を目ざし、同志を集めて学会を作り、国にリハビリ医療の充実を訴えた。また、リハビリが弱体な東京進出を計画、98年に診療所による在宅サービス、02年には 173床の初台リハビリテーション病院開設、08年には 200床の船橋市立リハビリテーション病院の運営を引き受けた。

   60年代は小児や骨折に限られていたリハビリ対象が脳卒中、頭部外傷、心臓病、高齢者と広がり、総医療費に占める入院時リハビリ費は、00年1.9 %から14年5.2 %に、理学療法士などリハビリ専門職も5倍に増え、体制は充実してきた。

   とはいえ、石川さんによると、質にはまだ問題が残る。リハビリは急性期、回復期、生活期に分けられる。急性期では病気専門医の関心、看護師の取り組み、土曜休日の人手不足で早期リハビリが不十分で、とくに公立病院に目立つ。介護保険法による回復期、生活期のうち回復期病棟は多職種のチーム医療だが、リハビリ専門医が少なく、専門職の技術も不安だ。生活期の通所・訪問リハビリの患者は増えているが、生活機能訓練より従来の身体機能訓練がまだまだ多い。

   千葉県船橋市は在宅医療や介護、リハビリを受け持つ地域包括ケアシステムの模範例だ。市は各専門職の連絡会を設置、毎月、代表者会議を開く。市立リハビリ病院は多職種合同の勉強会をひんぱんに開き、ネットワークの強化を図る。こうした試みが全国に広がり、よりよいリハビリに、が石川さんの夢のようだ。(医療ジャーナリスト・田辺功)

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