国会内の暴行問題で、自民党の大沼瑞穂参院議員(36)がマスコミ取材に対し、民主党の津田弥太郎参院議員(63)から謝罪を受けていないとの認識を示した。国会外であれば、刑事事件になるというのだが...。
大沼瑞穂議員を後ろから羽交い絞めにして、肩などをつかんで引きずり倒しているようにも見える映像は、テレビのニュースで何度も流れた。
右手の小指と薬指に包帯を巻いており、突き指のケガ
2015年9月17日に行われた参院特別委の安保法案採決直後のシーンだ。それを見ると、大沼氏は、大勢の議員がもみ合った委員長席とは離れたところにおり、前に行こうとする議員を右手でブロックしているようにも見える。
後ろから現れた津田弥太郎議員は、大沼氏につかみかかりながら、その前の男性議員とも口論になった。暴行が起きたとされたのは、その直後だった。大沼氏はいったん起き上がるが、その後も津田氏に引っ張られるかのように倒れ、しばらくして同僚議員に抱えられながら議場を出た。
4時間後に本会議に現れた大沼氏は、右手の小指と薬指に包帯を巻いており、突き指のケガをしていた。
新聞各紙によると、津田氏は、大沼氏を膝の上に乗せて投げ飛ばしたともいい、そのときにケガをしたらしい。事実かは確かめられないが、津田氏がセクハラ行為をしていたとの報道も一部であった。
自民・民主両党が協議した結果、津田氏は、24日になって、民主党の榛葉賀津也参院国対委員長と一緒に大沼氏の国会事務所を訪れた。各紙によると、2人は大沼氏に謝罪したとされている。同じ日に、自民党の佐藤正久参院議員らが民主党の安井美沙子参院議員の事務所を訪れ、もみ合ったときに安井氏の体にアザができたとして謝罪しており、これで両党が手打ちしたとも報じられた。
ところが、大沼氏は、25日放送のテレ朝系「グッド! モーニング」で、津田氏からまだ謝罪を受けていないとインタビューに告白した。
津田議員は「遺憾」と発言、思い通りでなく残念の意味
大沼瑞穂氏は、津田弥太郎氏の「謝罪」については、「到底納得がいかない」「極めて不誠実な対応」とインタビューで不満を漏らした。
津田氏は、自分が前に行こうとしたところ、大沼氏が妨害していたので、それをよけようと思ったら、大沼氏が倒れたと主張したというのだ。もし本当にこう話したとすると、大沼氏は故意か偶然かで自ら倒れてケガをしたと言っていることになる。
そのうえで、謝罪の言葉は言わずに、結果的にケガを負ったのは大変遺憾だと発言したそうだ。遺憾とは、自らの過ちを責める意味はなく、思い通りでなく残念ということだ。
この発言について、大沼氏は、国会外であれば暴行の現行犯で逮捕される事案なのに重大さを認識していないとして、「再度謝罪をしっかりしていただきたい」と苦言を呈した。もしそれがないようなら、その後の対応を考えたいとも述べている。
なお、大沼氏が前に行こうとする議員をブロックしたかについては、「それは指摘に当たらない」と否定した。大沼氏は、与党議員の席にいたといい、もし前に行きたいのなら民主党議員の席から行く道もあったからだという。
国会内での暴行問題について、ネット上では、「どっちもどっち」といった声はあるものの、「事件じゃないのか?」「自民もなあなあで済ませてどうする」「刑事告訴したりして毅然とした対応しろ」といった意見も続出している。
大沼氏の国会事務所に今後の対応などを聞こうとしたが、「取材はお断りしています」と秘書が答えた。津田氏の国会事務所にも取材したが、何度電話しても誰も出なかった。