「軽減税率」が迷走、導入は先延ばし? 財務省案に公明が反発、実現難しい

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   2017年4月に予定される消費増税の負担軽減策として、財務省が提案した「日本型軽減税率制度」に批判が噴出している。購入時点でいったん10%の消費税を負担しなければならないなど、制度面での問題点が多く、財務省案の実現は見通せない状況だ。

   「複数税率(軽減税率)は面倒くさい」。財務省案が報じられた直後の9月4日、麻生財務相は訪問先のトルコで記者団にこう言い放った。食品など生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率は、自民、公明両党が「2017年度の導入を目指す」ことで合意し、与党税制協議会で時間をかけて制度設計を検討してきた経緯がある。とりわけ、公明党は導入に熱心で、「一丁目一番地の公約」(党幹部)として最近の国政選挙で前面に出して訴えてきた。

  • 軽減税率をめぐる議論は迷走を続けている
    軽減税率をめぐる議論は迷走を続けている
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公明党は「来年夏の参院選を戦えない」

   それを「面倒くさい」の一言で片付けてしまったのだから、公明党の怒りは収まらない。公明党幹部は「麻生さんの言葉が足りない部分はあったのだろうが、これまでの議論を軽視している」と憤慨する。

   そもそも、財務省案は、国民一人一人に番号を割り振るマイナンバー制度の個人番号カードを提示して買い物をすると、消費税2%分のポイントがたまり、後日申請するとポイント相当額の現金が口座に振り込まれるしくみ。複雑な制度に、公明党からは「後日返金されるのでは、痛税感が緩和されない」「お年寄りや子供がカードを持ち歩くのは不安がある」などと懸念がわき起こった。

   麻生財務相の数々の発言も火に油を注いだ。「面倒くさい」発言のほかにも、麻生財務相は「カードを持って行きたくなければ、持って行かなければいい。その分の減税はないだけだ」などと問題発言を連発。軽減税率の制度設計が難航していた自民、公明両党の指示を受けて財務省が案を作成した経緯を踏まえ、「与党から頼まれて案を出しただけ。具合が悪いなら、自分らで考えればいい」と開き直っている。公明党は「来年夏の参院選を戦えない。絶対に財務省案は認めない」と態度をますます硬化させている。

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