日本近海に来る前に稚魚までごっそり
日本のサンマ漁は、鮮度を重視して冷凍物を避けるため、近海の排他的経済水域(EEZ)内での漁獲が中心で、1997年から独自に総漁獲量を制限して資源管理を行っている。それでも、漁獲量は2008年の34万3225トンから2013年には14万7819トンに減っている。台湾などによる公海上の漁との因果関係について、水産庁は「不明」としているが、台湾船などはサンマの群れが日本近海に来る前に公海で採ってしまう形になっており、漁業関係者からは「大きな漁船で稚魚も多く取られてしまう」との不満が絶えない。
このため、日本はNPFCの場で、公海での乱獲を防ぐため、漁獲枠や禁漁水域の設定などの実効性のあるルール作りを主張していく方針だ。中国や台湾などが簡単に応じるかは不透明だが、クロマグロでは厳しい規制を導入した大西洋域で資源量が急回復して、今年から漁獲枠を拡大したという成果もあり、資源保護による持続可能な漁業という基本認識は国際的に広く共有されてきている。
サンマ保護へいかに関係国を引っ張っていくか。「庶民の味」を守る日本の外交力が試される。