ビールや酎ハイなどアルコール飲料のCMで、のど元を通る際に流れる「ゴクゴク」といった効果音や、のど元をアップにするような描写が消えることになった。
酒類の業界団体「酒類業中央団体連絡協議会」が、このほど内閣府のアルコール健康障害対策関係者会議のワーキンググループ内で明らかにした。
酒類の広告を規制する法律はない。しかし、業界ではこれまでも、独自に未成年者や妊婦らの飲酒を誘発しないよう自主基準を設けている。
今回の「ゴクゴク」「グビグビ」などの効果音やのど元アップの描写をやめるのは、同会議の「CMでの飲酒シーンには飲酒欲求をあおるものがある。特にTV広告での効果音はアルコール依存症の方にとって苦痛」との意見に配慮したもの。これから自主基準の見直しを進めていくが、各社は「新商品のCMから順次対応していきたい」(ビール大手)という考えだ。
起用タレントは25歳以上に年齢引き上げ
この効果音に加え、「若いタレントのCMが未成年者の飲酒への関心を高めている」「若年での飲酒習慣が、その後の妊産婦の問題やアルコール依存症の嚆矢(こうし)となっている」との指摘を受け、CMに出演するタレントを現在の20歳以上から25歳以上へと引き上げることも決めた。
最近のCMに登場した25歳未満のタレントを見てみると、アサヒビール「クリアアサヒ」の本田翼さん(23歳)、キリン「酎ハイ氷結」の武井咲さん(21)、サントリー「酎ハイほろよい」の二階堂ふみさん(20)、野村周平さん(21)、成海璃子さん(23)、片平里菜さん(23)らがいる。
また、「購入後、子供が冷蔵庫にあった缶酎ハイを誤って飲んだ」との意見もあり、ジュースだと勘違いして誤飲することも考えられるとして、容器のデザイン変更などの改善策が必要かも検討するという。
このニュースに対し、ネット上では「少数派に配慮した規制が最近増えすぎでは」「どんなCMだって我慢している人には苦痛にならんか」「どんどん生きにくい社会になっていく」など過剰な反応だとの意見が目立つ。また、「どうやって、あの爽快感を表現するのか」「確かにゴクゴクにはひかれる」「自主規制でCMの意味がなくなっていくような」といったコメントも並ぶ。
一方、来年夏の参院選から選挙権年齢が18歳に引き下げられるのを踏まえ、自民党内では飲酒や喫煙ができる年齢の引き下げが議論されている。党内にも慎重な意見があって結論は出ていないが、CM見直しと絡め、ネット上では「やろうとしていることが矛盾している」「この国は何をやりたいのか分からん」との批判も出ている。