日本で臨床試験が受けられる
メラノーマに限らず、他の部位のがんでも効果があるか確認するため、世界中で抗PD-1抗体の治験(薬剤の有効性を確認する治療を兼ねたテスト)が進められており、腎がんもすでに免疫療法や分子標的療法を受けた患者を対象とした治験で好結果が出ているという。そして、今新たに始まっているのが、治療前の患者を対象とした治験だ。
「腎がんと診断され、他の部位への転移があり、まだ抗がん剤治療を受けていない患者を対象に日本での治験が始まっています。抗PD-1抗体か分子標的療法どちらかを受けていただくものです」(堀江医師)
分子標的薬は高額な治療法だが、治験であれば受けられる。順天堂医院や千葉がんセンターなどで現在治験参加の募集をおこなっているほか、全国のがん診療連携拠点病院でも受けることができる場合がある。興味がある人は、主治医などに相談してみるといいだろう。
[アンチエイジング医師団取材TEAM/[監修:堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科教授]
(15年10月2日10時30分追記)国内でメラノーマの治療薬として使用されている小野薬品の抗PD-1抗体「オプジーボ」は、投与された患者が全身の筋力が低下する「重症筋無力症」を発症して死亡した事例が確認された。厚生労働省は薬との因果関係は否定できないとして、15年9月15日に薬の説明文書の「重大な副作用」欄に同症などを追加するよう求めた。現在、オプジーボの【使用上の注意】内に、追記されている。
アンチエイジング医師団
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