「日本の若者のパソコンスキルは先進国でも最低レベル」という、ショッキングな話題がインターネットで広まっている。
意外なことに、デスクトップ型やノート型のパソコンやタブレット端末の所有率は国によってかなり差があるという。欧米などに比べて日本の若者のパソコン所有率は著しく低くなっていて、「持っていない」人の割合も一番多かった。
日本の若者、「デスクトップ」「タブレット」の所有は「最下位」
内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2013年度)は、欧米諸国と韓国の7か国の13~29歳の若者を対象に、自身が所有しているデジタル端末について聞いている。「あなたが持っているデジタル端末を次の中から選んでください」(複数回答、1175人)との問いに、「携帯電話・スマートフォン」の所有率は、日本は87.3%。韓国の96.9%をはじめ、ドイツ(95.6%)、フランス(95.3%)、スウェーデン(95.0%)、英国(90.5%)が90%を超えている。米国は88.7%だった。
もしかしたら朝起きてから寝るまで、どこにいてもスマホを眺めている若者がいるのは日本だけではないかもしれないと思わせるほど、欧米などでも普及していることがわかる。
一方、日本の若者の所有率が高かったのが「携帯ゲーム機器」で、最も高い44.8%だった。次いでフランスの36.5%、英国の34.2%と続く。
ところが、「タブレット端末」(13.5%)と「デスクトップパソコン」(24.4%)は7か国中、最下位。「ノートパソコン」は60.5%だが、欧米諸国は軒並み80%程度の水準で、韓国(56.8%)に次いで6番目に低かった。
さらに、「持っていない」と答えた若者は、日本は2.5%で最多だった。
そうした中で、武蔵野大学講師の舞田敏彦氏は2015年9月9日付のニューズウィークジャパンで、「パソコンが普及した90年代以降に成長した世代を『デジタルネイティブ』と呼ぶが、これに該当するはずの日本の学生のパソコンスキルが、じつは先進国の中でも最低レベルだということは余り知られていない」と指摘する。
内閣府のデータからは、先進国の若者と比べ、日本の若者が自分専用のパソコンを持たなくなったことでパソコンに触れなくなり、友人や仲間とのメールのやり取りや情報を授受や、調べ事にもスマートフォンを活用している姿が目に浮かぶ。
舞田氏は自身のブログ「データえっせい」で、「『エクセルなんてここ2年ほど開いたことがない』『パソコンなんて触れない』という、学生さんの言葉もわかるような気がしてきました」と綴っている。
スキルが低いのは、パソコン使わないから・・・
では、日本の若者のパソコンスキルは、国際的にみてどれ程の水準にあるのか――。舞田敏彦氏が経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査「PISA2012」をもとに検証したところ、15歳の生徒のうち、表計算ソフトでグラフをつくれる人、パワーポイントなどでプレゼン資料をつくれる人の割合を他国と比べると、日本はそれぞれ3割程度で最低レベルだった。舞田氏は「欧州諸国は、『自宅にパソコンがあり、自分もそれを使う』割合が高い。この2つのスキルは、パソコンに触れる頻度との相関性が高い」とみている。
基本的なスキルが身に着いていない若者は少なくないようで、日本の若者のパソコンスキルが低いのは「パソコンを使う必要に迫られていないから」と指摘する。
メールのやり取りや情報の授受などは、いまやスマホで十分だが、情報を整理し、加工して発信するとなるとそうはいかない。さらに仕事で使うようになれば、パソコンを使いこなすスキルはおのずと必要になってくる。パソコンを使えて損することはないはず。
とはいえ、インターネットでは、
「パソコン不要の時代になってきたので仕方ない」
「たしかに、スマホで完結してるもんな」
「パソコン持ってるが、ネットとゲームしかやらんのでwww」
「そら、ググってコピペするだけやからな。いらんやろ」
「まあ表計算やプレゼン作成が使えないのはそんなに問題じゃないと思うけど。あらゆる知能労働でパソコンが必須になっているのにパソコンの所有率が低く、結果的にそれらに対する意欲が低いってほうがヤバイんじゃね」
「そんなの社会に出てからでも充分間に合うよ」
と、どちらかといえば気楽な声が少なくないようだ。