「災害時の報道ヘリは救助の邪魔だ」「ドローンを使え」。鬼怒川水害でのマスコミの災害報道のあり方をめぐって、報道ヘリの「迷惑撮影」が物議をかもした。
元フジテレビの長谷川豊アナウンサーはブログで、各社ヘリが自衛隊の邪魔になったという見方を否定する。その一方で自身の取材経験から、マスコミによる現地コンビニでの買い占めを「一番まずいこと」と指摘した。
おにぎりやパンがなくなってしまう
鬼怒川水害では、テレビを中心にマスコミ各社がさかんに報道ヘリを飛ばした。緊迫した現場の様子を映像や写真で伝えたが、自衛隊機が被災者を救助しようとする場面では、報道ヘリがかなり近くを飛んでいるようにも見えた。ネットでは、救助を邪魔しているのではないか、という指摘する声が上がっていた。
長谷川アナは2015年9月15日、自身のブログでこうした声に対し、
「『視聴率稼ぎのために、自衛隊のヘリの邪魔になった!』の後半部分、『自衛隊の邪魔に~』は誤解です」
と否定する。報道ヘリには高度制限などの取り決めがあるとし、
「視聴率のために救出作業の邪魔はしていないはずです。少なくとも、私が現場にいるときは間違いなくそれはしていませんでした。全局で」
と反論した。
一方で、災害現場を何度も取材した経験から、
「一番まずいことをしていたなぁ・・・と感じるのは、むしろヘリなどよりも、コンビニの『買占め行為』の方でしょうか」
と語る。長谷川アナによるとフジテレビの場合、大災害が起きると報道局から夕方のニュースや夜のニュース、情報局からは番組ごとに4~5人のチームがそれぞれ取材に出る。同様の編成が各局で行われることに加え、新聞社や通信社の記者も当然現場にやってくる。
取材に必要なものだと理解を示しつつも、彼らが現場周辺のコンビニでおにぎりやパンを買い占めてしまうことを、
「地元に物資が不足しているときに、果たして適切なのか。少々疑問に感じる時もありました」
と振り返った。