安全保障関連法案に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基(あき)氏(23)ら3人が2015年9月16日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。近く成立する見通しの安全保障関連法案が違憲だと主張し、採決を見送るように求めた。
一方で、奥田氏は法案が「通ってしまうだろう」とも発言。今回の抗議活動で参加者の層が広がったことなどから、今後は安保法案に賛成した議員への落選運動を展開する考えを明らかにした。奥田氏は、今回の抗議活動を通じてできた参加者のつながりが「そのまま選挙に影響を与えると思っている」と話しており、焦点は16年夏の参院選に移る。
すでに「賛成議員を落選させよう」が「合い言葉」
奥田氏は今回の安保法案をめぐる活動を通じて、日本でもデモという形での抗議活動が定着したことを強調。法案通過後も、野党が何らかの争点で共闘できれば、「落選運動」が抗議活動の形として効果を発揮するとの見方を示した。
「世代、地域を越えて、人々が声をあげている。このつながりが、そのまま選挙に影響を与えると思っている」
「野党がうまく協力していただければ、次の選挙で応援をしやすくなる。現在では、『賛成議員を落選させよう』というのは合い言葉のように使われている。いわゆる『法案が通る前の運動』とは、違う形になりつつあるのではないか」
社会活動のインフラは「コンビニのネットプリント」
抗議活動の裾野が広がった背景のひとつには「コンビニのネットプリント」を挙げた。コンビニで簡単に抗議ビラやプラカードのプリントアウトができるようになり、参加のハードルが下がったというわけだ。
「ネットプリントという形で番号を入れると全国のコンビニで印刷できるようになっている。なので、全国各地で同じようなデザインのプラカードを使っている。それがなぜできているか。今の日本の社会運動のインフラは何なのかと言われたら、多分、コンビニのネットプリントだと思う」
記者からは、「法案通過後」の方針についての質問も出た。奥田氏は、自民党が多数の議席を得た14年12月の総選挙では集団的自衛権は主な争点になっていなかったことを指摘しながら、
「この法案はそれでも、議会制民主主義の中で通ってしまうだろう。しかし、議会の中で多数派だからといって何でもしていいのかというところは、よくよく考えていただきたいと思う。今、現政府の方が口をそろえて『国民が理解しているとは到底言えないが、通さないといけないことがあるから通す』と言っている。それに対して言えることは、『本当にそれでいいのでしょうか。絶対にこれは、次の選挙に影響を与えることになりますよ。この状況での採決はあり得ないのではないでしょうか』と、私たちは今日も声をあげる」
と述べ、抗議活動が落選運動にシフトしていく方向性を改めて示した。