外国人には日本の「億ション」も「格安」
東京都心の「億ション」と郊外の中古マンションの両方が「売れている」というのは、いったいどういうことなのだろう――。
周知のように、最近の「億ション」の買い手は、株価上昇の恩恵を受けている日本人の富裕層。相続税対策や賃貸運用など投資目的で購入しているとされる。
加えて、円安で割安感を抱いている外国人投資家も有力な買い手だ。前出の不動産アナリストは、「日本の分譲マンションは海外の高級マンションと比べて、やや安価に見えます。海外ではタワーマンションの最上階ともなると30億~50億円する住戸が結構あるのですが、日本では10億円超がせいぜい。クオリティーの割に安く見えるということはあるかもしれません」と話す。
半面、中古物件とはいえ、100万~200万円といえばクルマ1台の値段だ。破格だし、キャッシュで「ポン」と買っていく人がいるもの不思議ではないが、それでも勤労者世帯は手を出しづらい。
東京カンテイは、「勤労者世帯のマンション探しは、基本的に勤務地を基準に考えます。そのため破格でも通勤に時間がかかる物件は、まず敬遠する傾向にあります」と説明。東京都区部でも築30年前後でファミリイータイプの中古マンションはあるが、こうした需給関係もあって、「東京都心はどこも数千万円台で下げ止まります。勤労者世帯が狙うのはこうした物件です」という。
どうやら、都心の「億ション」も、郊外の格安中古マンションも、買い手の中心はリタイア層も含め、まとまったお金をもっている日本人と外国人投資家の需要ということのようだ。