安全保障関連法案の参院での採決が迫るなか、国会前のデモが激化するなど世論の反発は強まるばかりだ。この傾向は世論調査にも反映されており、法案そのものに反対の人や「今国会で成立させる必要はない」という人の割合も増えている。
安倍内閣の支持率は調査した会社によって上がっていたり下がっていたりで、傾向が読み取りにくい。意外なことに、共通しているのは「自民党の支持率が微増している」ということだ。これに対して野党第1党であるはずの民主党は減少または横ばいで、他の野党も状況は大きくは変わらない。これだけ政権に対する逆風が吹き荒れていても、野党が受け皿になっていない現状を浮き彫りにしたと言える。
安保法案については両社とも否定的な結果が出る
2015年9月14日(紙面は15日朝刊)には、NHKとの朝日新聞の世論調査の結果が明らかにされた。朝日新聞は安保法案含めて一貫して安倍政権に批判的だとされる一方で、NHKは政治部の有名女性記者を筆頭に「安倍政権に近い」という声が絶えない。この対照的な2社でも、世論調査では同様に安保法案に否定的な結果が出た。
NHKの調査は9月11日から14日にかけて実施。安保法制を今国会で成立させるとする政府・与党の方針について聞いたところ、賛成が19%、反対が45%、「どちらともいえない」が30%。「反対」が明らかに多い。
朝日の調査は9月12日から13日にかけて行われ、法案を「今の国会で成立させる必要があると思いますか」という問いでは、「ある」が前回調査(8月22日~23日)と横ばいの20%、「ない」が3ポイント増の68%だった。安保関連法案そのものの賛否を問う設問でも、賛成が前回比1ポイント減の29%、反対が3ポイント増の54%。安保法案について見る限りでは、逆風は強まっている。
内閣支持率は傾向が分かれた。NHK調査では8月の前回調査比6ポイント増の43%で、不支持率は7ポイント減の39%だった。朝日調査での支持率は前回調査比2ポイント減の36%で、不支持率は1ポイント増の42%だった。これだけでは、安保法案をめぐる動きが政権に対する評価にどう影響したのか読み取りにくい。