「コンクリートから人へ」に苦言も
とはいえ、識者からは、民主党政権時代に「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズでどんどん公共事業を切ったことへの苦言も出ている。
中央大学理工学部の山田正教授は、9月11日放送のテレ朝系「モーニングバード」に出演し、「鬼怒川はだいたい300ミリの降雨量で設計されています。それが600ミリですよ。見直しはずいぶんやっているが、事業仕分けで予算を削られてしまった。そこも反省してもらわないと」と意見を述べた。
また、元財務官僚の高橋洋一嘉悦大教授は、ニュースサイト「現代ビジネス」への14日の寄稿で、事業仕分けで10年度は治水予算が19.6%も削減されたとして、「15%のコストカット方針が打ち出されて、適切なコスト・ベネフィット分析が行われないまま、ただ『予算削減ありき』となってしまったのではないか」と疑問を投げかけた。
ただ、19.6%もの削減は、治水予算の一部が新しい交付金に移行した影響もあった。また、自民党政権時代からも年々予算が減少してきており、堤防強化などの災害対策費はむしろ増えているなど、一概にその是非は判断できないようだ。