2015年9月14日発売の「週刊ポスト」(9月25日・10月2日号、小学館)が、1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件の加害者と思われる男性(33)の当時の実名と顔写真を掲載した。
記事中で「もはや彼は『過去の人物』ではない。現在起こっている重大な社会的関心事の当事者である」と意義を説明しているが、ネットでは「当然だ」「やり過ぎ」と賛否が分かれている。
ポスト「現在進行形の事件の論評材料」
元少年Aは15年6月に事件を振り返った手記「絶歌」(太田出版)を出版。9月には自身のサイト「存在の耐えられない透明さ」を立ち上げるなど、大きな注目を集め続けた。
週刊ポストは記事中で一連の動きを、
「忘れてはならないのは、今年になって行われた彼の一連の行動によって、事件の被害者遺族の精神をかき乱し、大きく傷つけているということだ」
と指弾する。その上で氏名や顔写真を掲載した意義について、
「現在のAは33歳。少年法によって守られる必要があった18年前とは違う。彼の氏名を含めたあらゆる言動は公衆の正当な関心の対象であり、現在進行形の事件の論評材料となる」
と強調した。
少年法61条では少年が起こした犯罪について、氏名など加害者本人を特定する報道を認めていない。同誌は、元少年Aが成人であり、自ら手記を出していることから
「匿名のままではAが発信する情報に正確性や透明性は担保されず、国民は検証も論評もできない。それはおかしな話です。今回のケースは少年法61条の想定外であり、保護対象に入らないと考えます」
という、紀藤正樹弁護士の見解を載せている。
18年前に、フォーカスや週刊新潮が掲載
同誌の報道を受け、ネットの賛否は分かれた。
「もはや少年法で保護されるべき存在でなくなっているのは確か」
「出たがりなんだろうし、彼だけ特別扱いする必要ないでしょ」
と肯定的な意見は少なくない。一方で
「もう罪を償っている。被害者家族と警察以外の社会的リンチのような行為はやりすぎ」
「プライバシーの問題があると思う」
とする論調もあった。
とはいえ、掲載された顔写真と実名は、事件を起こした14歳当時のものだ。事件があった18年前に、すでに写真週刊誌「FOCUS(フォーカス)」や「週刊新潮」(いずれも新潮社)が掲載している。当時の週刊誌を読んでいなくても、ネットに写真や実名は書かれていて、誰でも見ようと思えば見ることはできるのが現状だ。
また、元少年Aは33歳の大人となり、容姿が変わっていることは想像に難くない。社会復帰後に名前を変えて生活していることは、週刊ポスト自身も認めている。
「改名した現在のじゃないと意味ないんじゃない?というか、知らない人いないでしょ・・・」
「FOCUSの記事に出てた顔写真と、改名前の名前が掲載されていてズッこけた」
「事件当時の名前や顔なんてちょっと調べれば出てくるし何もニュースバリューはないと思う」
と、現在の実名や写真でないことに肩すかしを食らったという意見もあった。