種苗メーカーが生産者のニーズに合った品種をつくるお手伝いをしている
――モンサントに対しては、遺伝子組み換え作物で「世界の農業を独占しようとしている」「利益優先だ」という批判があります。この点はいかがですか。
山根 当社が持つ除草剤耐性の大豆の技術は、米国の大豆栽培総面積の95%に使われています。こうしたことから「独占」の批判があると承知しています。しかし大豆の品種は1つではありません。日本のコメに「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」があるように、米国の大豆の品種も多様で、約2000種存在します。種苗メーカーは、栽培地の気候に合わせた大豆の品種を開発しており、こうして新たに開発された種子に当社の技術が採用されています。当社が2000品種すべてを独占しているのではありません。当社の除草剤耐性という技術は、特性の1つを付与するもので、各種苗メーカーが生産者のニーズに合った品種をつくるお手伝いをしていると考えています。
「生産者は高額な種を買わされて疲弊している」との批判もありますが、モンサントでは1996年、最初の除草剤耐性大豆を売り出すとき、まず生産者にとってどのような新しい価値が生まれるかを考えました。除草の回数や費用が減る、畑を耕さずにすむ、栽培方法ができてトラクターなど機械が不要になり、燃料費を削れる、収量も増える――こうしたメリットで得られる価値を金額に換算し、それを当社と生産者が分け合うような関係を築けるビジネスモデルを考案しました。多くの生産者の方に当社の種子を利用して頂いているのは、メリットだけでなく、このビジネスモデルについてもご理解を頂けているからだと思います。