作家の太宰治が芥川賞選考委員の1人で作家の佐藤春夫に宛てた手紙3通が新たに見つかった。手紙は1935年から36年にかけて書かれたもので、20代半ばだった太宰が佐藤に「見殺しにしないで下さい」と芥川賞受賞を懇願する内容だった。
当時の太宰は「逆行」が35年の第1回芥川賞候補となるも落選。36年1月28日付の手紙で「こんどの芥川賞も私のまへを素通りするようでございましたなら、私は再び五里霧中にさまよはなければなりません。私を助けて下さい。佐藤さん、私を忘れないで下さい」と記していた。しかし第2回以降は候補にもならず、受賞することはなかった。
手紙は、佐藤の親族宅に保管されていた資料の整理にあたっていた実践女子大の河野龍也准教授が発見。河野准教授が2015年9月7日に会見を開き、発表した。