財政健全化計画は初年度から波乱含み
財務省は年末にかけて、特別枠への要求が趣旨に合っているかなどを厳しく査定し、2016年度の予算規模を2015年度並みの97兆円程度まで絞り込みたい考えだ。無駄な事業の排除に加え、歳出の約3割を占める社会保障費を抑制できるかがポイントになる。財政健全化計画では、社会保障費の伸びを年間5000億円程度に抑える「目安」が盛り込まれており、財務省はこれに沿って厚生労働省などが求めた約6700億円の増額を削っていく構えだ。
しかし、与党内では来夏の参院選をにらみ、既に歳出拡大圧力が高まっている。2016年度は医療機関に支払われる診療報酬の2年に1度の改定時期にあたるが、引き下げには医師会が反対し、与党の激しい抵抗が予想される。社会保障費以外でも、民主党政権時代に減らされた農業農村整備事業の復活など、与党内では予算増額を求める声が相次いでいる。
財政健全化計画は初年度から波乱含みの船出となりそうだ。