去年は6年ぶりに前年割れ
問題は最近の状況だ。リーマン・ショックから回復したのはいいのだが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による株高効果などで高級車が以前より売れる局面が続く中、レクサスが伸び悩んでいるのだ。2014年のレクサスの販売台数は4万4000台で6年ぶりの前年割れという事態となった。一方で、ドイツ勢の快進撃は続いている。
レクサスは2012年まではメルセデス・ベンツとBMWという強力なドイツ2ブランドの販売台数をそれぞれ上回っていたが、2013年にベンツに敗れ、2014年には独2ブランドともに負けている。今一度確認すると、2013年はベンツ5万3731代▽レクサス4万7000台▽BMW4万6037台。2014年はベンツ6万839大▽BMW4万5645台▽レクサス4万4000台となった。
2012年のベンツは4万1911台だったことを思えば、「アベノミクスを追い風に急伸するベンツに、レクサスが置いていかれている」という構図でもある。
ベンツの快進撃は2015年も続いており、1~6月は前年同期比19.1%増の3万2680台。海外メーカーによる輸入車市場で独フォルクスワーゲンを抜き、16年ぶりに上半期首位の座を獲得するまでになった。1~6月はBMWが0.9%増の2万2674台、レクサスは横ばいの2万3000台だった。
トヨタの豊田章男社長は「台数を追わない」のが基本的な経営方針。レクサスについても「何が何でもドイツに勝て」のような指示は聞かれない。テコ入れ策も漢方薬のような趣きだ。
例えば東京・南青山に2013年に開設したPR拠点「インターセクト バイ レクサス」。クルマを展示・販売しないだけでなく、クルマとは直接関係ないデザイン関連のイベントも開く。ブランドとしての「レクサス」を広く知ってもらい、ブランドを磨くことに注力する。また、クルマにまつわる幅広い知識を持つよう、レクサスにかかわる人材の育成にも力を入れる。ドイツ勢に比べれば歴史が浅いだけに息長くブランドを育てる考えのようだ。