2020年東京五輪のスポンサーであるアサヒビールの小路明善社長が2015年9月3日、公式エンブレムが白紙撤回になったことについて「賠償請求は考えていない」と語り、注目を集めた。
請求についてはPRグッズで約4600万円がかかった東京都の舛添要一知事が言及したが、ほかのスポンサー各社はどう対応するのだろうか。
「損害を被っていない」と請求否定
アサヒビールは東京五輪、パラリンピックのスポンサーとして国内最高位である「ゴールドパートナー」で、公式エンブレムの使用が認められている1社だ。そのため9月1日にエンブレムの撤回が発表されると、販売促進活動などでの使用を急きょ取りやめるなど対応に追われた。
同じ「ゴールドパートナー」契約は全部で13社と結ばれていて、各社も対応に追われた。東京海上日動はテレビCMでエンブレムを使用していたが、3日放送分から急きょJOCマークなどに差し替え。日本生命も2本のCMで使っていたが、同様に差し替えを行った。
みずほフィナンシャルグループは銀行支店に貼られていたポスターを撤去、アシックスは直営店で掲示していたポップを取り下げるなどした。そのほか各社も自社サイト内で掲示していたエンブレムを削除するなど対応に追われた。
そんな中、アサヒビールの小路社長は9月3日、「当社としては損害を被っていない」と述べ、損害賠償の請求を否定した。今回の対応に、ネットで「器量があるな」「すばらしい対応」と評価する声が上がる。
ほかのスポンサー各社はどうだろうか。J-CASTニュース編集部が問い合わせたところ、現時点で損害請求を具体的に検討している企業はなかった。富士通やキヤノンのようにまだCMや広告に使用していなかったり、自社サイトでのみの使用だったりするからだ。
「対応にかかった費用がゼロとは言わないが、比較的軽微だった」という声もあり、そもそも費用を算定していないところもあった。
都では請求に向け協議
一方でエンブレム入りのポスターやのぼりなどを製作した東京都は舛添要一知事が9月1日、記者団に「かかった費用はできるのか、誰に請求できるのか」と賠償について言及した。
都ではPRグッズに関して、すでに約4600万円を業者と契約している。1度は作ってしまったエンブレム入り名刺や紙袋をそのまま活用しようというアイデアもあったが、結局使用は中止になった。担当者によると、製作段階に入っていない分は業者と交渉するため、実際にかかる費用はどれくらいになるか分からない。
現時点では請求に向けて、関係部署間では協議が行われている段階だという。ただ、誰を相手取るのかもはっきりしていない。