日経「編集判断はお答えしておりません」
会見場の貼り紙について、三菱地所の広報部では、自社の方針から出したことを取材に認めたうえで、次のように説明した。
「われわれからは、会見の1週間前には、その案内を各報道機関にしています。緊急会見をすると迷惑をかけますので、準備の段取りを踏むためです。そのときに、事前の取材や報道を控えてほしいとの要望も同時に出しています。守られない場合は、会見場への入場をお断りしますとも伝えていました。それにもかかわらず日経が報道したため、貼り紙を出したまでのことです」
他社からクレームがつく可能性があるため、日経の記事が出たその日のうちに報道各社にこうした内容を連絡していたともいう。
日経に先に書いてもらい、他社への配慮から形式的に会見出席拒否にしたのでは、という一部の見方に対しては、「そうではありません」と否定した。
では、なぜ日経が書いたかについては、広報部担当者が担当記者に事情を聴いたところ、「出席を拒否されることを承知の上で書いた」と説明を受けたという。書いた理由をどう答えたかについては、「それは日経側に聞いてほしい」と言っている。今後の会見出席なども拒否するかについては、「そうもいきません」という。
日本経済新聞社の広報室では、取材に対し、「編集判断についてのお問い合わせは、この件を含めお答えしておりません」とだけコメントした。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙東京支局のランダース支局長は、取材にこう話す。
「会見出席拒否の背景は、把握していないところが多いので、どちらが正しいのかなどはよく分からないのが正直なところです。一般論としては、企業と約束したことならば、うちとしてもそれは守ります。書かないことを条件に情報提供してもらうことは、アメリカでもよくあることです。こんな貼り紙を会見場で見たのは、初めてのことですね」