手術のメリットめぐる立証責任を押し付け合う
対談後も、両氏は互いの批判を続けた。週刊新潮9月3日号の記事では、対談で「近藤氏は反論を試みたが、逆に浮かび上がったのは、『7つの嘘』だった」とする大場氏のインタビュー記事を掲載。大場氏は、エビデンスを取るのは「倫理的に不可能」だと改めて主張した上で、
「『手術にメリットがない』と主張したいのならば、それを証明する義務は近藤氏の方にあります」
と反論。近藤氏が子宮頸がん検診が無意味だと主張していることについては
「海外で出たネガティブな結果をひとつやふたつあえてもってきて、がん検診すべてを否定してしまうステレオタイプな見方」
などと批判した。
近藤氏も、週刊文春9月10日号で大場氏に反撃。文春8月13・20日号の対談では
「対談で触れなかった話題やデータを編集段階で付け加えない。対談時に話していない言葉も加筆しない」
という取り決めがあったにもかかわらず、新潮の記事で大場氏が「面と向かって言わなかったことを持ち出して、延々と近藤氏を批判」したと「後だしジャンケン」を非難した。それ以外にも、大場氏が「新潮の記事で対談時の発言を『修正』する事で自らの立場を補完している様子もある」と指摘している。エビデンスの問題については、近藤氏は
「大場さんだけでなく手術医全体が、証明責任という言葉にナーバスになっていることが分かります。なぜならエビデンスがない事こそが彼らのアキレス腱だからです」
と、立証責任は大場氏側にあると主張。議論は平行線をたどっている。