五輪エンブレムの使用中止で損害 テレビCM差し替え、ポスター撤去など企業大慌て

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   佐野研二郎氏(43)デザインの五輪エンブレムが使用中止となったのは、ネットユーザーが佐野氏の盗用疑惑を追い詰めた成果でもあった。五輪パートナー企業の一部は、すでにエンブレムを使用しており、取り下げに費用が掛かるなど、使用中止にともなう損害も出てきそうだ。

   「きたか!」「大勝利w」「よっしゃああああ」。2015年9月1日正午過ぎにNHKのテロップに、五輪エンブレム使用中止方針の速報が流れると、ネット上では、こんな声が次々に上がった。

  • 撤去作業も負担に(成田国際空港で)
    撤去作業も負担に(成田国際空港で)
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エンブレム問題は、ネットの指摘で火が付いた

   五輪エンブレム問題は、ネット上の指摘で火が付いた。ベルギーのデザイナーが提訴するまでになったほか、佐野研二郎氏の盗用疑惑が次々に持ち上がり、一部はその事実が分かって外堀も埋められていった。あまりに発覚が多いので、「佐野る」というネット用語まで生まれたほどだ。

   佐野氏がエンブレムの応募資料に使った画像もブログなどからの無断転用が指摘され、ついに佐野氏もそれを認めたと報じられた。大会の組織委員会は1日夕に武藤敏郎事務総長が会見し、エンブレムの原案についても酷似したロゴが見つかり、国民の理解を得られないと考えたとして、エンブレムの中止を発表した。佐野氏からは、同じ理由で取り下げの申し出があったという。盗用そのものは認めなかったが、これ以上、傷口を深くしないように手を打った形だ。

   とはいえ、これですべてが解決したわけではない。

   五輪パートナー企業の一部は、すでにエンブレムを使用している。その後始末をどうするのかも、今後の焦点だ。

   日本航空は、エンブレムを使ったポスターを駅や空港などに多数貼っていたほか、現在も掲示板広告が2か所にある。成田国際空港でも、東京都からの依頼を受けて、到着ロビーの4か所に大きなステッカーを貼り出してある。また、ENEOSなどは、8月22日からのテレビCMでエンブレムを使用しており、こうしたものの差し替えなどに多額の費用がかかる見込みだ。

損害は佐野研二郎氏が負担すべきとの指摘

   エンブレム使用中止に伴う損害について、ネット上では、佐野研二郎氏が負担すべきとの指摘があるほか、組織委員会の責任を問う声も相次いでいる。

   そもそも、五輪誘致に当たっては、利害関係者への利益誘導が行われているとの不満が多い。人々の共感を得られないデザインが採用されたのは、そのためではないかというのだ。

   東京都が採用した外国人向け観光ボランティアのユニフォームについても、ネット上で、デザインに不満の声が次々に上がっている。

   これはエンブレムとは別のデザイナーが担当しており、東京五輪とは直接関係もなく、利益誘導があったとは言えない。しかし、背中に「おもてなし東京」とロゴが入ったブルーのチョッキ風デザインの服について、「ダサい」「気持ち悪い」「中止に追い込もう!」といった声が次々に出ているのだ。

   タレントのフィフィさんも、ツイッター上で「ついでにボランティアのこのユニフォームも再検討したらいいよ」とつぶやいていた。

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